地味に有益でおすすめな本
今回は『胃痛・胃もたれの正体[機能性ディスペプシア]最新最強自力克服大全』のレビューをしていく。
結論としては、ディスペプシアの基本知識からセルフケアまで学べるため、当事者は手元にあってもいいと思う。なにより読みやすい。
あらすじ・感想
ここからはあらすじや感想を色々と書いていく。
あらすじの要約
タイトルには『自力克服大全』とあるけど、中身はディスペプシアの広範な情報が半分ほどで、もう半分にセルフケアなどが載っている。
広範な情報というのは、ディスペプシアの症状や考えられる原因、症状を悪化させない方法、セルフ診断、また薬や漢方についてで、それらを概観できる。
分量、文体
本のサイズはA4より少し小さいくらいで、ムック本のような感じ。ページ数は50ほどですぐ読み終えられる。
三分の一ほどがカラーで、図やグラフがあるため見やすい。また文字も大きめで書かれているから読みやすい。
信用性・正確性
この本はドクターや大学教授が解説する形で、六名の方々によって執筆されている。
だから様々な情報や知見があり、他では知りえなかった情報もあった。
タイトルにも「最新」とある通り、出版は2020年。ディスペプシアを概観するには最も適していると思う。
タイトルや表紙は正直チープな感じだけど、中身はちゃんとしたものになっている。
良し悪し
この本には多少なりとも調べたら出てくるものが載ってるけど、意外と知りえなかったものも出てくる。
それに薬などの基本的な情報を概観しやすいし、慢性的なディスペプシアで悩んでいるなら手元にあってもいいんじゃないかと思う。
意外な情報や効果的なセルフケアがあるかもしれないし、自分はそこそこそれがあったと思う。
他に感じたこと
この本の表紙に「原因不明の難病」「難治の胃病対策」とあるけど、繰り返し「自律神経の乱れが背景にある」とあり、そんなことないんじゃないかと思う。
ただ、ディスペプシア患者の中には「ディスペプシアは難病じゃないか」という声もあるし、そう書いてくれると楽になるという面もあるか。
でも、それは「検査で異常が現れず、器質的疾患と違って明確な治療がない」という意味だと思う。
要は生活改善が肝というところ。基本は生活療法と考えていいはず。その意味で「自力克服大全」ということろか。
特に刺さったところ
ここからは更に個人的に刺さった部分を引用していく。
適応性弛緩のピークは十五分以降
時間をかける理由は、もう一つあります。 実は、胃には、食べることによって胃の筋肉がゆるんで、胃がふくらみやすくなり、より多くの食 べ物を受け入れようとする適応性弛緩と呼ばれる反応があ ります。 この適応性弛緩は、食べはじめから約15~20分ご ろに、最も強まることが知られています。
早食いでこの反応が働かないうちに、胃に次から次へと食べ物を放り込むと、胃はゆるんで広がることができず、 胃壁が伸ばされて症状が出やすくなるのです。
『胃痛・胃もたれの正体[機能性ディスペプシア]最新最強自力克服大全』P20 文響社
ここに書いてあることは初めて知った。ここだけでも元が取れたと言えば過言だろうか。
主治医に「胃は胃袋だからなるべく食べると膨らんでいくよ」と言われたけど、肝心なのは早期膨満があることだった。
たしかに早期膨満があるときは早食いだった気もするし、ちびちび食べることでそれが和らいだ感じもある。
情報や疲労も自律神経を乱す
⑤過度の疲労情報化社会では、脳で処理しきれないほど多くの情報にさらされ、心も体も疲弊します。 実際、IT関連の職業の人は毎日大量の情報を浴びており、それを処理しきれずに機能性ディスペプシアになる人が多いように感じます。
『胃痛・胃もたれの正体[機能性ディスペプシア]最新最強自力克服大全』P16 文響社
この本ではよく自律神経に言及されるけど、ここもあまり知らなかったことだった。自律神経は情報や刺激でも乱れる。
不調の原因としてスマホの見すぎは考えていたし、こもってスクリーンを見続けるのでも自律神経が乱れる可能性はある。
食事は自分にあった量・回数で
もちろん、1日3食が一般的ですが、それがそのときのおなかの状態に適しているとはかぎりません。そのことにあまりこだわりすぎずに、一度に 十分な量が食べられないな ら、間食を取り入れるなどして食事の回数を増やして必要な栄養を補いましょう。
今の自分のおなかに適した食べ物、食べ方、食事の量を見つけましょう。そうすることで症状が現れにくくなり、 楽しい食事につながります。
『胃痛・胃もたれの正体[機能性ディスペプシア]最新最強自力克服大全』P20
これは基本的なことだけど、こう言ってもらえると楽になるのはある。
食後愁訴の最大の不安は体重の減少だし、無理して食べてしまいがち。それでより食べられる量が減るのも大きい。
一度に食べられないなら、間食などで補えばいい。自分ならエンシュアなどのリキッドに回せばいいということ。この柔軟性が大事。
セルフケアや生活改善で治るかも
患者さんの中には、これらを実践することで長年悩んでいたつらい胃痛や胃もたれ、早期満腹感、吐きけ、ゲップなどが気にならなくなったという人はおおぜいいます。
『胃痛・胃もたれの正体[機能性ディスペプシア]最新最強自力克服大全』P30 文響社
この本では自律神経を整えるセルフケアが複数紹介されている。呼吸、マッサージ、ツボなど、こういったことを続けるのは意外と大切。
24Pでは「自律神経の特徴は刺激や変化で動きが変わる」とある。つまりはそれを自分で与ええばいいということ。
上述したように、ひたすらスマホを見続けたり、日光を浴びないでいるのは良くないはず。その生活習慣を変える勇気が必要。それで症状も変わるかもしれない。
これまで述べてきたよう に、機能性ディスペプシアについて研究が進み、どのような対策を打てばよいかもかなりわかってきました。 治らないとあきらめずに、ぜひ自分に合った対策を見つけ、症状改善につなげてほしいと思います。
『胃痛・胃もたれの正体[機能性ディスペプシア]最新最強自力克服大全』P10 文響社
ディスペプシアだと明確な治療法が見つからない壁もあるけど、それはこの病気においては仕方ないのもある。
胃の機能が落ちるのは異常ではないんだろうし、それよりは生活改善のほうが有効なんだろう。
だったらこの本に書いていることを実践し続けるのもいいと思う。なるべく意識して生活を変えたい。
まとめ・総評
この本はサクッと読めて手軽だし、値段もそこまでしない。だとしたら、何か一つヒントでもあれば得だと思う。
ディスペプシアの罹り始めから慢性で悩まで、最新の情報を知っておくのもいいんじゃないか。
意外と自分に合うヒントがあるかもしれない。自分はそこそこあったし、いつか見直しても刺さる部分があると思う。
良かったら手に取ってみてね。
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